徐 天楽(じょ てんらく)
公認心理師 精神保健福祉士
公認心理師 精神保健福祉士 社会福祉士
- 中国・江蘇省出身。高校から日本語を学び、ビジネス日本語学科卒業。
- 2009年3月精神科ソーシャルワークを学ぶために来日。
- 法政大学大学院 人間社会研究科福祉社会専攻 社会福祉学修士
私は知的障害者のスポーツ世界大会を通じて「ソーシャルワーク」という言葉を知り、その後日本留学を決意しました。来日後、精神保健福祉を学び、さらに大学院でアメリカ発の精神障害者の地域リハビリテーション「クラブハウスモデル」の研究をしました。2013年の春に精神障害者の支援現場に入り、その後約8年間、東京都内で相談支援、ジョブコーチ、国際交流活動に携わりました。
HCMセミナーに出会うまで、目の前にいるクライアントの話を黙って聴き、そして正しい見立てを作ってから支援するという流れが頭にありませんでした。クライアントの“問題”の本質を理解することもなく、いつの間にか自己満足の支援になっていたことに気づいた時は、心の底から「見立て8型」に早く出会いたかった気持ちでした。
2020年、今まで学んできた「正しい見立て」と「正しい支援」の知識を活かし、日本語に不自由のある中国人の方のために、「メンタルサポート談心」を作りました。日本国内ではとても珍しい中国語に特化した訪問型の心理カウンセリングです。「談心」とは中国語で「心を語る」という意味です。日本で生活している中、異文化、仕事、家族関係にお困りの方を対象に、どなたも安心して語れる場を目指しています。
推薦者の言葉を紹介します
徐さんとは、HCMカウンセリングセミナーを通じて知り合い、懇親会でお話しした際に、とても優しい気配りが印象に残っていました。その後も交流を深めていく中で、高橋和巳先生著『精神科医が教える 聴く技術』の中国語訳を電子出版し、独立開業の準備を着々と進める聡明さとスピード感には驚くばかりでした。
ちなみに談心のロゴマークは、徐さん自身が「ハリネズミのように気が小さいから」とのこと。たしかに細やかで謙虚なお人柄なのですが、その一方で、大胆な実行力は、痛快ですらあります。
当初お勤めだったクラブハウスでは、的確な見立てに基づいてケースワークをされていましたし、談心を開業されてからは、被虐待クライアントも増えているそうで、真摯に向き合って支援されています。目の前の人を救いたいという熱い思いを持ちつつ、シンプルに本質を突く視点もあり、徐さんのふとした一言から学ぶことが多々あります。その素晴らしいバランス感覚は、もちろん日本語のカウンセリングでも十分に発揮されていると思います。
人類に占める被虐待の割合が1割程度とすると、中国語圏には何億人もいる計算になりますが、徐さんの活動によって、多くの苦しんでいる方が回復する可能性が開けるのではないでしょうか。カウンセリングを実践する仲間として、大いなる希望を感じています。
興津祥子
徐さんとの出会いは、実はさほど以前のことではありません。その私がなぜ、徐さんを推薦しているのか。それは、出会った時からすぐに、彼女の人柄の魅力や優れた能力を感じ、第一印象に留まらず、今に至って尊敬の念が深まるばかりだからです。
初めてお会いしたのは、HCMセミナー主催メンバーによるオンラインでの顔合わせの時でした。そこで、まず驚かされたのは、ご挨拶された時のあまりに流暢な日本語でした。全く違和感のないアクセントや話の内容からは、いかに彼女が日本で様々なことを積極的に得てきたかということが伝わってきました。その後は、HCMセミナー事務局スタッフとして接するたびに、彼女のバイタリティや機転の利いた対応など多くを学ばせていただいています。きちんとご自身の考えを持ち、それを表現する凛としたところもありながら、周囲の様子を見つつ一歩引く謙虚さもある方です。また、ユーモアと柔らかい雰囲気で、かなり年上の私が不思議なくらいに一緒にいてホッとできるのです。
このような方ですから、人の人生を聴き、悩みに寄り添うカウンセラーとしての資質も持っていて、中国人に限らず日本人も対象に、その方の思いをしっかりと受け止めてくれます。単身で来日し、たくさんの努力をし、時には辛い経験もされたであろう徐さんだからこそ、何よりもクライアントの話を聴くことに重きを置いてくれることでしょう。
岩本祥子